こざこざるつぼ

こざこざしたものを、るつぼに入れてくよ

人の体温は感じられないのに。その温度を私が私で知っているのだから、暖かい気がしてしまうんだろうか。錯覚に近い何かは冬の厚着を挟んでより不鮮明な温度になる。思い描いたものにそう形が手のひらに収まったような、理想道理の安心感を形容する言葉を探し当てることができない。

寂しさは好きだから訪れる。好きなものが増えるほど寂しくなってしまう。どこそこのブランドも話も質の良いワイシャツも洋楽もジャズもわからないんだ。

アクティブな経験もしていない。自分で活動を立ち上げたり回していることもなく、何がしかの技能を身につけることもなく、消費するだけの醜くて気持ちの悪い人。

その居心地がない、語るべき言葉を拾ってこなかった私の手のひらと彼の手のひらはどちらも部不相応なやる気と劣等感でかいた冷や汗に湿っている。

それくらいの温度だから気持ち悪さが拭えないのかもしれない。

でもきっと彼ほど私にすがる人は二度と現れないのではなかろうか。これも一つの恋だろうか。

手のひらは繋げてもなでた頭の感触すら好きになれないのに。いつまでも恋のような顔をして指を絡めている。