2018-04-15から1日間の記事一覧
お母さんの目の前でテストをぐちゃぐちゃにしちゃったのは、別に反抗期とか思春期とか、誰しもが通る道だとお膳立てされた理由なんかじゃないのだ。だって私はもう小学六年生なのだ。彼氏だっているし、メイクだってできる。お母さんなんかよりずっと上手に…
とても困ったことに、僕がここに居続けたのは君が居たからだったのだ。子供が2人住むにしては狭いワンルーム。正方形の部屋。正方形の壁。正方形の窓。赤いカーペット、水色のカーテン、白いテーブルクロス。椅子は2人分。ベットは大きなものが一つに枕が二…
祭囃子が曲がり角から漏れ聞こえてきた。踊り子たちがオレンジ色の懐中電灯を振り回しながら、ひらひらと現れる。やがて木枠をいくつも組み合わせて積み上げた、粗雑な神輿が男衆に担がれてぬっそりと出てきた。お蜜柑様のお通りである。日がとっぷりと暮れ…
今日のご飯はなんだっけと、さおりが不思議そうに言う。僕が壁に貼ってあるカレンダーを指差せば、彼女はつまらなさそうにそっぽを向いた。僕が大学の教授から譲ってもらった、製薬会社のモノクロカレンダー。4月3日を囲んだ雑な花丸がひどく場違いだ。 さ…