こざこざるつぼ

こざこざしたものを、るつぼに入れてくよ

2017-01-01から1年間の記事一覧

11月27日 めも 

なんとかこうにか生きているといった体で、なんともスマートでない。スーッと窓の外を、鷹かわしか、とにかく美しく羽を伸ばした大柄な茶色い鳥がよぎったのだ。その非現実さが、ここでは日常だと言う衝撃が、いかに自分が人里に埋没していたかを深々と感じ…

11月21日 定規

できることとできないことがある。私にはできないことがよく見える。 歩いてもつまずくし、カバンの紐をよく引っ掛ける。 はたと誰かと向かい合って、反復横跳びを繰り返したり、ぶつかったりする。 息をすること、歩くこと。それもうまくはできない。 何と…

11月10日 のど飴

家に帰ってすぐにのど飴を探した。 一昨日からイガイガ違和感がやってきて、昨日は随分ひどかった。 朝から咳をしていたのが目についたに違いない。 バイト先の、おばあさんとおばちゃんの中間くらいの、くたびれた、だけど元気な人がのど飴を3個くれた。貰…

11月9日 思い出

いつだってワームホールは微動だにせず、記録者然として、まるで画面越しの何かをぼんやり眺める朝の誰かみたいな空気を保っていた。ワームヲォールはよく喋るが、他人に対して評価を下すことも、何もしてやらない。ワームフォールは全てにおいて、ただそう…

11月7日 焼き芋

全部休んでしまった。ベットの上から動かなかった。ひたすらパソコンでどうでもいい、思考を極端にシンプルにしてしまうような小説を漁った。それは幸福には程遠く、しかし必要な作業だ。私がスケジュールの過密さを幸福と感じ、必要とされているように錯覚…

11月6日 体液

耳も見えないほど抱きついて寂しさが紛れるか。だけどトントといくらひっつきあったところで、皮膚と皮膚がピタリと、横並びの頭になろうと、だからこそ視線が合わないことがまた寂しくてどうしようもないのだ。トント、大切な娘。愛すべき一般市民。平等に…

11月3日 前夜祭

廊下が私たちのフィールド。 文化祭、毎年芸術専門学群一年生はカフェを出す。いわゆる女装カフェで、そこにオプションやらグッズやらチェキやらがついている、人間版猫カフェ(えぐい)。友人に装飾班のリーダーになることをやたら薦めまくり、その時に私も…

10月27日 パフォーマンス

先輩たちが随分前から準備していた。いよいよ本番だと、ツイッターでも現実でもどこか浮き足立ったような空気があった。私はそれを横目に、澄ました顔をしながら内心でワクワクしていた。ちょっぴり疎外感も含めて。 7月ごろに、パフォーマンススタッフお手…

10月26・5日 真夜中のスープ

やけに喉が渇いたと思ったら、暖房がつけっぱなしだった。 裸足にはそれでちょうど良かったのだが、私の気管支はすぐに干からびてしまう。表面はこんなに水分を保っているのに。 私が湿度を感じているのは肌だから、その肌がいくら干からびたところで、基準…

10月26日 シーツ交換

先週の誕生日を乗り切って、ついにトントが話をすることに決めたらしかった。 ギ・クルシュガンへの手向けになるかもしれないと、そう言ったのが良かったのかもしれない。彼女は柔らかな手のひらでキンと冷えたコップを包み、じっと座っている。水滴が彼女の…